相続|民法改正・遺言

相続分野の規定を約40年ぶりに見直す民法大改正ということで、新聞や雑誌でもよく特集を組んでいるので、ご存知のかたも多いかと思いますが、改めて、遺言の分野で見直しになるポイントについてご説明します。2020年7月までに順次施行される予定です。

自筆証書遺言の条件の変更

遺言書の作成方法は、3つあります。

自分で書く自筆証書遺言公証役場が関わってくる公正証書遺言・秘密証書遺言です。

今回は、自筆証書遺言についての改正がありました。この遺言の方法は、すべて自筆で書くことが要件でした。

このことは、財産が多数ある場合やご高齢の方には相当な負担です。

しかし改正後は、財産目録の部分はパソコンで作成をしてもいいし、通帳のコピーを添付してもいいということになります。また財産目録には署名押印をしなければならないので、偽造も防止できます。

そして、法務局で形式上の不備をチェックした上で保管する仕組みも導入されるので、相続発生後の家庭裁判所で遺言書を確認する検認という手続きが不要になります。

このことにより、自筆証書遺言の作成の負担や相続人の負担もかなり減ります。

ちなみに、検認とは、家庭裁判所に提出し、遺言書の現状を確認してもらい、証拠を保全する手続きのことです。つまり、遺言書をだれかが勝手に書き換えたりするのを防ぐ手続きです。あくまで、証拠保全の手続きなので、遺言書の有効、無効を判断する手続きではありません。封印のしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封する必要があります。遺言書を見つけて、あわてて開封すると、5万円以下の過料に処せられますので、お気をつけください。この手続きの完了は、申立ての準備を含めると大体2ヶ月ほどかかります。

(黒川総研 相続倶楽部・終活倶楽部より)