現在、戸籍には名前の読み方・フリガナが記載されていません。正式な家系図を作成する場合は、戸籍をもとに作っていきますが、名前の読み方までは記載が無いので分かりません。今後、戸籍に氏名のフリガナが記載されるというのは、家系図を作成する上でも、嬉しい知らせです。なにしろ、ひとつの漢字に音読みや訓読み等の複数の読み方があり、どのように読むのが正解なのか、第三者には分かりません。たとえば、「浩一」は、コウイチやヒロカズなどいろいろな読み方が考えられます。また、比較的若い世代の名前は、お洒落で読み方を聞かないと分からない場合も多々あります。

目次

戸籍のフリガナ制度について
・いままで検討されていなかったのか?
・フリガナの制度が進められた理由
・いつから始まるの?
・ひらがな?カタカナ?どちらで登録
・登録方法は?
・家庭裁判所の許可とは
・どんな読み方でもいいの?
・まとめ

・いままで戸籍の氏名のフリガナは検討されなかったのか?

さて、なぜいまさら名前の読み方・フリガナを登録しようという話になったのか。もっと、早くそのような話が出ていてもいいのではと思うかも知れません。
実は、戸籍に氏名の読み仮名を記載することは、過去3回、当時の法務大臣の諮問機関であった民事行政審議会及び法務省民事局に設置された戸籍に関する研究会で検討されています。しかし、いずれも、「今後の検討にまつべき」「なお検討すべき余地が残されている」「なお慎重に検討すべき」とされ、制度化は見送られてきたのです。
例えば、漢字それ自体の読み方にそぐわないフリガナをつけて届出を出してきた場合の処理はどうするか?など現場の実務上の問題派生が懸念され先送りにされていたようです。

・フリガナ制度が進められた理由

しかし、氏名のフリガナを登録することで、情報システムにおける検索及び管理等の能率、さらには各種サービスの質を向上させ、社会生活における国民の利便性を向上が期待できます。また、マイナンバーなどの公的な身分証に氏名の読み方を記載し、本人確認事項の一つにすることで、各種手続きにおける不正防止にもなります。このような様々なメリットが挙げられとうとう氏名の読み仮名の法制化が進められたというわけです。

・いつから始まるのか?

戸籍に氏名のフリガナが登録される法律は、2024年(令和6年)に改正される予定です。

・ひらがな?カタカナ?どちらで登録?

カタカナで登録する予定です。

・登録方法は?

赤ちゃんは、出生届で、氏名の読み方も届出をし、戸籍に登録されます。
既に戸籍がある人は、法律の施行日から1年以内に読み方の届出をすることで戸籍の氏名にフリガナが登録されます。
1年以内に届出をしなかった場合には、本籍地の市町村長が職権により戸籍の氏名にフリガナを登録します。

ただし、職権によって登録された人は、一度かぎり、家庭裁判所の許可を得ないで読み方の変更を届出することができます。

・家庭裁判所の許可とは

「職権でフリガナを登録された人は、一度かぎり、家庭裁判所の許可を得ないで変更を届出できる」とあります。おいおい、家庭裁判所の許可なんて普通はいるのか!?と驚かれる方もいるかもしれませんね。名前の変更は、役所に行って勝手に変更することはできません。正当な事由によって、戸籍の名を変更するには、家庭裁判所の許可が必要です。
正当な事由とは、名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい、単なる個人的趣味、感情、信仰上の希望等のみでは足りないとされています。

・どんな読み方でもいいの?

「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という趣旨の規定を設ける予定です。

まとめ

2024年(令和6年)以降は、戸籍の氏名にフリガナが記載されます。そして、読み方が「一般的に認められているものでなければならない」とされるようです。

(参考文献:法務省の戸籍法等の改正に関する要綱案(案)・法務省の氏名の読み仮名の法制化に関する研究会とりまとめ)