神様の家系図|オオクニヌシ
前回、あなたがお参りにいく神様のルーツで、古事記を紐解いて「神様の家系図」が作成できるという話をしましたが、今回は、オオクニヌシに焦点をあてててみました。
偉大なる国の王・大国主命
代表的神社は、ご存じ島根県の出雲大社です。縁結び、夫婦和合、五穀豊穣、医薬業守護、病気平癒、商売繁盛などにご利益があると言われています。
オオクニヌシは、縁結びの神としての人気は、大変美男子で、恋多き艶福家という神話のイメージからきています。結婚した女性は、スセリビメ(スサノオの娘)を含め6人。
有名な因幡の白ウサギの話では、オオクニヌシがウサギに治療法を教える場面があります。ここでは、古代において止血・鎮痛の効果がある薬草と言われている蒲の穂が出てきます。これは、オオクニヌシが医療の神様としての信仰を得ていたからと考えられます。
オオクニヌシは、中世以降は、仏教の守護神大黒天と集合し、大黒様と呼ばれるようになりました。のちの七福神の大黒様と同一視されました。
息子の闘いは相撲の起源
オオクニヌシの息子のタケミナカタは、軍神としての信仰も集め武士たちによってあちこちに諏訪神社が建てられました。そのため、諏訪から出ないといったわりには、あちこちで諏訪神社をみることができます。そして、相撲のルーツで記載しましたが、国譲りの神話・タケミナカタとタケミカヅチの闘いは相撲の起源といわれています。
国譲りの神話のあらすじ
古事記の国譲りの場面のあらすじをご紹介しておきます。
オオクニヌシが治め繁栄する国を見たアマテラスは、「ここは本来、私の子供が治める国だ。」と考えて次々と刺客を送り込みます。しかし、刺客たちはオオクニヌシに籠絡されてしまい、何年かかってもアマテラスに朗報が届かない状態でした。
そして、最後にいよいよ建御雷神(タケミカヅチ)と天鳥船神(アマノトリフネ)が出雲の伊那佐の浜に降り立ちました。タケミカヅチは十拳剣をぬいてさかさまに波頭に刺し立て、その切先に胡坐をかいて座ると、「アマテラス大神は、あたなの国を自分の子に任せたとおっしゃっているが、どうするのか。」とオオクニヌシに問いました。オオクニヌシは、「私は答えられない。私の子の事代主神(コトシロヌシ)が答えるだろうが、美保の岬に行って不在だ。」というので、アマノトリフネを遣わしてコトシロヌシに尋ねると、コトシロヌシは父に、「この国は天つ神に奉りましょう。」と言うと青柴垣に隠れてしまいました。
タケミカヅチは、「まだほかに子はいるのか。」と聞きました。オオクニヌシは、「もう一人だけ武御名方神(タケミナカタ)がおります。」というと、タケミナカタが大岩を手の先に持ち上げてやってきました。「誰が私の国にきてこそこそとしているのだ。それならば、力比べをしようぞ。」というので、タケミカヅチがその手を取らせると、たちまち氷になり、剣の刃になったのでタケミナカタは驚いて退きました。今度は、タケミカヅチがタケミナカタの手をつかみ握りつぶして投げたので、タケミナカタは逃げ出しました。タケミカヅチは信濃の諏訪まで追い詰め殺そうとしましたが、「殺さないでくれ。私はこのまま諏訪を出ないし、この国はアマテラスに治めてもらう。」と命乞いをして助けられました。
タケミカヅチは出雲に戻って、最後にオオクニヌシに聞くと、「わかりました。この国は献上しましょう。ただ立派な宮殿を造ってほしい。」と願い宮殿を建ててもらいそこに鎮座することとなりました。
(黒川総研 系図倶楽部より)