哲学者の系図

グーグルやアップルが、哲学者を「顧問哲学者」として採用したことが話題になっていましたね。哲学とは、小難しく堅苦しいイメージがありますが、世界三大投資家の一人、ジョージ・ソロスが世界的に富豪になった原動力が哲学であったことは、有名な話。今、世界中のエリートが「哲学」を重要視している傾向にあります。

古代ギリシャの哲学者の系図

ギリシャ最大の都市国家として発展したアテネでは、民主政治が隆盛。アテネ市民の中では、人々を説得する弁論の力がキーとなってきます。そのような風潮の中、弁論述に長けた者は、ソフィストと呼ばれ、多額の報酬を受け取って、弁論のテクニックを教えていました。これに、反発したのが、ソクラテス。プラトンは、ソクラテスの弟子。アリストテレスは、プラトンの弟子です。

ソクラテス|無知の知

ソクラテスの友人が「ソクラテス以上の賢人はいない」と神託を受けました。ソクラテスはそれを聞いて、その神託が間違っていることを証明しようと、政治家や作家などアテネ中の賢人を訪れて回りました。そして、彼らとの問答や対話などをするうちに、彼らは、普遍的な真理や善などを知らずに、ただ自分で知っているように思い込んでいるだけなのだと気づきました。そして自分は、少なくとも「何も知らないことを誰よりも知っている」ということにたどり着きました。

プラトン|理想主義

プラトンは、ソクラテスの弟子であり、ソクラテスの対話を記録し、ソクラテスの言葉を借りて自分の哲学思想を「対話篇」を残しています。

自分に打ち勝つことが最も偉大な勝利である」とし、人が生きて行く上で理性によって感情をコントロールすることで、幸福な人生が送れるとしています。さらに理想の国家作りには、長期間の訓練を受けた完全に理性的な哲学者である皇帝が統治すべきだと説いています。

また、プラトンは、イデア論を説いています。人の精神は、「イデア界」と呼ばれる完全な真実の世界から来て、人が死ぬとイデア界に戻るとしています。そして、目の前に見えいてる物は、イデア界にある完全な物のコピーであるとしています。

アリストテレス|現実主義

プラトンの理想主義のイデア論を批判したのが、弟子のアリストテレス。「イデアが本当に天上にあるか確かめることはできない。目の前に実際にあるものの本物が、天上にあるとは考えがたい。」アリストテレスは、様々な物は何らかの目的があり、運動・変化をしていくと説いています。

幸福な人生とは、外に求めるものでも運に頼るものでもない。」アリストテレスは、幸福な人生を手に入れたければ、多額の金銭よりも人付き合いの能力の方がよほど助けになると考えていました。そして、幸福は、優れた性質(アレテー)を備えていれば、喜びを幸福へとつなげていける。具体的には、優れた性質の一つとして「寛容」があります。そして、その性質を身につけるには、「実践し習慣にする」こと。寛容以外にも知恵や善良、誠実なども優れた性質です。これらを養おうという強い意志を持つだけでも人生は幸福に向かって進み始めると説いています。

まとめ

医療の技術が進歩して、未来では一部の人間は不老不死を手に入れるのではないかと思う。クローンなども人間がどこまで生命の誕生に関与していいのか。もしかすると、既にどこかの国でこっそりとクローン人間が誕生しているのではないか。そんなふうに感じる時代だからこそ、「哲学」が必要とされるのでしょう。

そして、ソクラテスなどの哲学者の哲学が現代人の心に響くということは、科学技術が進歩しても「人間の本質」は、変わらないものなのでしょうね。

(黒川総研 系図倶楽部より)