戸籍でみかける文字
正式な家系図を作成するためには、まずは戸籍の収集からはじまります。その戸籍。昔の戸籍は、手書きで非常に読み解きにくい。加えて、よく見ると、この文字は何だ?と思う字が現れます。今回は、そんな戸籍にかかれる文字についての話。
戸籍の文字に対する経緯
まずは、戸籍の文字の取り扱いの経緯について。
昭和25年、戸籍に記載されている誤字は、本人からの訂正の申出があれば、法務局の指示を受けて市区町村の職権で訂正することができました。そして、昭和38年には、本人からの申出があり、既に法務局が認めているという前例があれば、指示なしで市町村の権限で訂正できるようになりました。このことがきっかけとなり、昭和42年に、法務局は、「市町村長の職権で訂正できる誤字俗字・正字一覧表」を作成しました。
平成2年には、通達により戸籍に記載されている誤字と俗字は、一覧表に基づいて新戸籍を編製する際、正字に訂正するように定められました。しかし、その後通達が一部改正され、平成3年以降は、俗字は市区町村長の職権で正字に訂正することはできなくなりました。また、正字に訂正された俗字については、本人からの申出があれば、元の俗字に戻せるようになりました。
正字・俗字・誤字とは?
正字とは、康煕(こうき)字典や漢和辞典で正しいとされている文字です。康煕(こうき)字典は、漢和辞典の中で最も権威のあるものとされています。清朝の皇帝・康煕の命令によって編纂された辞典です。
俗字とは、長期間使用されている間に省略されたり崩れた形で定着した文字。康煕(こうき)字典や漢和辞典で俗字とされている文字です。
誤字とは、正字・俗字に属さない文字。古い手書きの戸籍をみていると、戸籍を書いた人のくせのある字があり、本来の字とは異なって見える字が多々あります。これらを、誤字といいます。
異字体とは?
読み方や意味・使用方法は、同じなのですが漢字の一部が異なる字体を異字体をいいます。たとえば、「辺」と「邊」、「斉」と「齋」などです。異字体には、同字・別字体・古字・本字・俗字・略字・誤字などがあります。同字・別字・古字・本字は、戸籍上は正字として扱います。
家系図作成のために戸籍を読み解くと、沢山の異字体に出会います。そして、日本語の文字の奥深さを実感します。
(黒川総研 系図倶楽部より)