日本人は、どこから来たのか?
ご先祖様をたどっていくと、「日本人のルーツ」という問いにたどり着きます。アウストラロピテクス、ホモ・ハビリス、ネアンデルタール人に続き、今回は、ホモ・サピエンスが日本列島に到達した話。
日本人の起源と成立
現在では、考古学的な証拠から、4万年程前の後期旧石器時代には、現生人類が日本列島に居住していたことが認められています。時代背景から、彼らは5万年程前に東南アジアに到達していた集団の末裔だと推定されるので、大陸を北上した集団の一部が琉球列島や朝鮮半島を経由して本土日本に到達したのだと考えられています。この時代の遺跡が急激に増えていることから、ホモ・サピエンスの日本列島での拡散がこの時期に起こり、しかも比較的大規模であったことが分かります。
当時の日本列島の地形と環境
この時代の日本列島は、北海道は海水の低下によって樺太を経由してロシアとは地続きで、寒帯から冷温帯の針葉樹林や草原が広がり、シベリアからマンモスなどの大型の草食動物群が南下して生息していました。大型動物をおって、シベリアからサハリンを経て北海道へ人類が移動してきたことが推定されています。
一方、本州の北半分は冷温帯の針葉樹と落葉樹の森が広がり、南半分は温帯の針葉樹と広葉樹が広がり、東アジア北部からナウマンゾウが移動して生息していました。このナウマンゾウをおって、人類が朝鮮半島から移動してきたことも十分考えられます。
また、琉球列島には、暖温帯の照葉樹林が展開して現在は絶滅しているリュウキュウジカやイノシシが住んでいました。
つまり、北は大陸の半島をなし、本州・四国・九州は、1つの島となって、狭い対馬海峡で大陸と隔てられ、奄美・沖縄本島も一つの島を形成していました。日本列島は、地形も環境も大きく異なる3つの地域でした。
日本列島到達への3つのルート
大陸との地理的関係から、旧石器時代の日本列島に到達するには3つの経路が想定されます。
- シベリアから北海道を通って日本へ至るルート
- 朝鮮半島を経由するルート
- 南方からの渡来ルート
温暖化による生活スタイルの変化
1万年前になると地球の温暖化が進み、現在に近い温暖な気候へと移っていきました。その温暖化の進行とともに、マンモスなどの大型哺乳動物が絶滅してしまいました。そのため、人類は、多様な栄養源の確保という新たな生活スタイルへと移行していきました。植物質栄養源の増加、魚介類などの捕獲による動物質栄養源の確保、補助的ながら雑穀農耕による植物栄養源の生産という形をとったようです。従来の狩猟も対象は、小動物になったとはいえ重要な動物質栄養源の確保でした。
追記
先日、科学博物館に行った際、マンモスとナウマンゾウの違いについての解説をしていました。どちらもゾウの仲間ですが、ナウマンゾウはアジアゾウ属で、マンモスはマンモス属。
ナウマンゾウは 30~2 万年前の日本や朝鮮半島、中国などの南方に生息していたのに対し、マンモスは 400~1 万年前のユーラシア大陸北部からアラスカ・カナダ東部にかけての北方に生息していました。
見た目も異なり、一番のポイントは毛の長さです。ナウマン象は、短い毛に覆われていましたが、シベリアなど寒い地域に住むマンモスは、全身長い毛で覆われていたと考えられています。
【参考図書:DNAで語る日本人起源論 篠田謙一 岩波現代全書/DNAでたどる日本人10万年の旅 崎谷満 昭和堂】
(黒川総研 系図倶楽部より)