古い戸籍にでてくる用語

家系図を作成していると、古い戸籍で「廃家」「絶家」などの言葉を見かけることがあります。少々細かいかもしれませんが、違いについて説明しておきます。

廃家

廃家」とは、戸主が他家に入って家を消滅させることです。当時は、家制度を中心に考えられていたので、家を簡単に「廃家」することはできません。原則として、廃家を行える戸主は分家などによって新たに家を創立した戸主に限られています。家督相続によって戸主となった者は、裁判所の許可が必要です。そして、本家を相続するなどの理由がなければなりません。

絶家

「絶家」は、戸主を失い家督相続が開始されたにもかかわらず家督相続人がいないため、その家が消滅したことをいいます。以下、「絶家」になるケースです。

・戸主に家族がなく、財産もない場合
・戸主に家族がいても、皆が相続放棄した場合
・戸主に家族がなく、財産がある場合は、裁判所が一定期間家督相続人を公告します。しかし、家督相続人が現れなかった場合

つまり、「廃家」は、戸主が他家にいってしまうことに対し、「絶家」は、後継ぎがいないという状態です。

廃絶家再興

廃家や絶家になった家を再興する「廃絶家再興」という言葉があります。これは、その家の家名を再興することで、財産を相続することは認められていませんでした。祭祀相続としての意味が強かったようです。

一家創立

新たに戸主となる者の意思とは関係なく、旧民法の規定により当然に家が設立されることを、「一家創立」と言います。たとえば、父母が不明の捨て子や戸主の同意がないので父母の家に入ることができない非嫡出子は、子自らが戸主となり一家を創立せざるを得ませんでした。

隠居

「隠居」というと、定年退職や家業を引退して、悠々自適の暮らしをエンジョイするイメージがあります。しかし、戦前「隠居」は、ちゃんとした法律用語であり、家を承継していく制度のひとつでした。実際の隠居の手続きも、役所に出向いて届出が必要でした。そして、次に家督を相続する人が決まっている必要もありました。

家督相続

家督相続」とは、分かりやすく言うと、何人兄弟がいても長男が家の財産の全てを受け継ぐこと。家督相続した者は、家の財産を守り、一族の面倒を見なくてはならないので、非常に強い権限をもっていました。
昔は、家を代々受け継ぎ、その家の主となって守り繁栄させていくという考え方が強かったのです。

隠居と家督相続については、別のページで詳しく解説しています。

(黒川総研 系図倶楽部より)