家系図作成|婚姻と離婚

家系図を作成していると、ご先祖様のルーツをたどりつつ、NHKのファミリーヒストリーのような様々なドラマが垣間見えます。「高齢になったから、隠居して次の代に任せることにしたのかな。」「東北から東京に移り住んできたのか。」「離婚して再婚したのだな。」などです。勝手に、親近感をもってしまいます。

現在の結婚観とは異なる旧民法時代

旧民法では、婚姻に関しても現在の法律とは異なりました。結婚できる年齢は、男性が満17才で女性が満15才以上です。そして、夫が亡妻の姉妹と婚姻したり、妻が亡夫の兄弟と婚姻することも、家制度の存続や残された子供達のために奨励されていました。戸主は、当然家を去るような婚姻は認められていません。

男爵を有する者は、宮内大臣の許可が必要でしたし、陸海軍の現役軍人は、所管長官の許可などが必要でした。

日本最古の離婚の法律

日本で、最も古い離婚に関する法律は、第42代文武天皇の時代に公布されました。ここでは、夫の一方的な意思で離婚できる7つの原因と夫が妻と離婚できない3つの理由が記されています。

【夫の一方的な意思で離婚できる場合】
・子供ができない
・不貞行為をする
・舅や姑を大切にしない
・言い争いが多い
・盗みをする
・悪い病気を持っている

【離婚できない場合】
・妻が舅や姑の喪をつとめた
・妻と貧しい時代に結婚し裕福になった
・妻の実家がなくなり帰る家がない

江戸時代まで妻から離婚を申し出ることはできませんでした。認められるようになったのは、明治6年からです。

内縁関係

日本では、婚姻を役所に届出る習慣が明治以降もなかなか定着しませんでした。そのため、内縁関係という事実婚も珍しくありませんでした。大正時代に入り、内縁関係について問題視されるような風潮になり、裁判の判決で「正当な理由なく、不当な内縁関係の破棄は損害賠償の対象となる」という判決が下されました。

そういえば、以前富山に来ていた司法修習生(弁護士見習い)が、富山の裁判所で多い紛争内容のベスト3の中に、男女関係のトラブルをあげていました。裁判所の職員の方に聞いたらしいが、都道府県ごとによってどのくらい取扱い分野の比重が変わってくるのかな。少し気になりました。

(黒川総研 系図倶楽部より)