ローマ皇帝の系図|ユリウス・クラウディウス朝

元マイクロソフトの社長・成毛誠氏の著書「Amazon」で、アマゾンは、ローマ帝国に似ているとありました。アマゾンは、ローマ帝国が拡大していった手法が似ているそうです。

1)アマゾンは、ロジスティック企業=戦場で軍の活動を維持するために、必要な軍需品や兵を前線に送り支援する事を重視して勢力を拡大したローマ帝国

2)地方分権を確立して、緩やかな統治形態=ローマ帝国は、征服した地域に自治権を与え、その後エリアを守るために軍隊を差し向けて支援。自前で軍隊を維持するよりも安い金額で徴税と兵役を課し、ローマ帝国を拡大。

今回系図倶楽部では、ユリウス・クラウディウス朝の初代から5代のネロまでの皇帝の性格的な面にフォーカスをあてました。

初代皇帝 アウグストゥス

天才カエサルの養子となり後を継ぎ、天才カエサルの描いた構想を実現化
(在位:BC27~AD14年)

ローマの初代皇帝であり、最も偉大な皇帝の一人。何事にも慎重な性格で、たぐいまれなる美男子で政治的センスは抜群。演説や著作などは、カエサルに比べると説得力が自分にはないという自覚をもっていたようです。

ローマの政治体制と帝国を完全に改組。帝国の国境警備を強化し、エジプト、オーストラリア、ドイツやスペインの一部地域を帝国の領土にくわえました。帝国は繁栄し、各都市の経済も発展。ローマの建築物を再建し改築。当時ローマが必要としていた統一と平和と安定を国にもたらしました。
77歳になるまで長生きをしたことも、カエサルの構想を実現化することの一因となっています。

第2代 ティベリウス

盤石の体制にし、皇帝の職務を完璧にまっとう。しかし、ストイックすぎるため、皆から嫌われる。
(AD14~37年)

優れた将軍で、アルメニアからスペインにまで広がる帝国全体を戦い抜いたが、アウグストゥスが維持していたような元老院や国民との良好な関係は築けませんでした。出しゃばることが嫌いで、元老院を信頼せず、国政に参加することを許しませんでした。そして、国民のために美しい建築物を造ったり、祝祭を主催することもありませんでした。しかし、初代皇帝の体制を盤石のものにし職務をまっとうしました。

第3代 カリグラ

24歳で皇帝に就任。神になることまで望んだが、愚政の限りを尽くす。
(37~41年)

すべての人に歓迎されて登位した若き皇帝に、元老院は全権を与えました。しかし、政治を知らない彼は、愚政の限りを尽くしてしまい、28歳で殺害されます。

第4代 クラウディウス

50歳まで歴史家。先代の体制を建て直し、ローマの発展に寄与。悪妻が足を引っ張る。
(41~54年)

突然のカリグラの死によって、それまでは歴史家だったが急遽皇帝になることになりました。彼は、前皇帝のせいで地に落ちていた帝政への人々の信頼を回復することから始め、問題を着実にこなしていきました。

ローマの主要な公共建築物の建設に取りかかりました。新しく2本の水道が引かれて市内に水を供給。外港のオスティアには、エジプトと北アフリカから麦を運んでくる輸送船を横付けできる港を建設。

彼は、学者タイプで家庭内のことには無関心でした。歴史家の時は、研究に没頭。皇帝就任後は統治に熱中をして、家庭内のことは適当に処理をしてくれというふるまいだったようです。その結果妻は、勝手気ままに虚栄欲・物欲・性欲を満たしていきました。この妻のおかげで、彼の評判も悪くなっていきました。

再婚相手もまた野心家であり自分の子を皇帝にしようと着実にことを進めていました。彼は、再婚相手に毒殺されたと言われています。

第5代 ネロ

16歳で皇帝に就任。利発で繊細な性格。当初は、庶民や元老院さえからも歓迎されたが、失政を重ね自身の資質を上手くいかせず、暴君として後世に名を残す。 (54~68年)

彼は、問題の解決を迫られた場合、繊細な性格が故に、極端な解決法しか思いつかないという性癖がありました。そのため、邪魔になった母を殺してしまった。このことにより心に大きな傷を負ったのは彼でした。夜ごとに亡霊に悩まされて眠れなくなったそうです。

ローマの大火の放火犯として多数のキリスト教徒を残酷に処刑したことで、市民の心は離れていきました。彼は、人々から嫌われていたキリスト教徒を放火犯に仕立て上げることで、自分に向けられた放火の疑惑を晴らそうとしたが、完全に裏目に出ました。

帝国の支配よりも芸術を好んだネロは、祭で、歌を熱唱し盛大な拍手と喝采と歓声を浴びました。しかし、見ていた元老院たちは「皇帝にはあるまじき行為」として、苦々しく思っていました。最終的には、元老院から「国家の敵」とみなされ、追い詰められて、30才のときローマの隠れ家で自死。

【参考文献 : ローマ人の物語 14~20 塩野七生 新潮文庫・ローマ皇帝 ポール・ロバーツ著 平田眞訳】

(黒川総研 系図倶楽部より)