苗字の基礎知識
日本人の苗字はどのくらいあるのか
家系図に書かれる大切な苗字。日本人の苗字はどのくらいあるのかご存じですか?
日本人の苗字の総数が正確に判明したのは戦後になってからですが、約30万種類以上と考えられています。日本人の苗字は、同じ漢字を使っていても読み方が複数あります。
たとえば、「神谷」。カミヤ・カミタニ・カメガイ・カベヤなどの読み方があります。このように、読み方をひとつずつカウントすると、約30万種類となります。
読み方を考えずに、文字表記のみで数えると、日本の苗字は約13万種類ほどと考えられています。
世界の苗字の事情
では、海外の苗字はどのくらいあるのでしょうか。韓国や中国では、苗字のことを姓と呼びます。
韓国では、約270姓。金(きん)李(り)朴(ぼく)の三代姓で人口の45%を占めます。
中国ではチベットやウイグルなど辺境部族を除いた調査で、約3000姓ではないかといわれています。李姓が最も多く約1億人ほどです。
これらの国が、人口の割に少ないのは、儒教の影響があります。祖先から受け継いだ姓を変えるのは、良くないと言う思想が根強く広まったことに由来しています。
アメリカは世界一の苗字大国といわれ、100万種類以上のファミリーネーム(苗字)が存在します。ちなみに、アメリカでも家系図の作成はとても人気があります。自分のルーツについて興味を持つのは、万国共通なのでしょう。
苗字のルーツはほぼ地名
30万種類ある苗字の85%は、地名からとったものです。
また、苗字は「田中」「佐藤」「鈴木」などの2文字表記が多いとおもいませんか。実は、苗字のうち87%が2文字の表記なのです。なぜなら、713年に朝廷から地名は2文字にせよと命令が下されたからです。そのため、地名は2文字場所が多く、地名からとった苗字も必然的に2文字になるというわけです。
「巨人の星」の星飛雄馬の「星」などの1文字の姓は、全体の約3%と珍しい姓にあたるわけです。
そのほかは、
・職業がルーツの苗字
「犬飼」「服部」「鍛冶」など
・藤原氏がルーツの苗字
伊勢守りなど伊勢にまつわる役所に就いた藤原氏は、「伊藤」
加賀の藤原氏は、「加藤」などがあります。
そして日本で一番多い苗字の「佐藤」こちらも藤原氏由来。左衛門府の役人である左衛門尉となった藤原氏が、「左」に「イ」をつけて「佐」とし、藤原氏の「藤」とつなげて「佐藤」となったわけです。
一定の苗字が多い理由
ご存じ日本の苗字ベスト3 1位 佐藤 2位 鈴木 3位 高橋
それぞれの苗字のルーツの説明はまたべつの機会にしますが、苗字が増える要因としては、下記のことが考えられます。
・ルーツの数が多い
・朝廷や幕府と繋がりがあった
・支配地域の頂点にはいなかったが、ある程度の家格や資力・財力があり影響力があった
ご先祖様が考えて作った苗字から、様々なことが考察されるのです。
(黒川総研 系図倶楽部 より)