家系図作成と養子縁組

家を存続そして発展させた養子縁組

家系図を作成していると「養子縁組」がよく出てきます。養子縁組とは、血縁関係とは関係なく、法的な親子関係を発生させる手続きです。日本は、戦前まで「家制度」が存在し、先祖伝来の家に対する責任感を持っていました。自分の代で潰してはならない。むしろ発展させて子孫につなげるという考え方があり、養子をとって、家業の存続・発展を目指していたのです。

養子縁組といっても、幼い子を引き取って養子にして育てる場合は、親族間で行われているケースが多いようです。しかし、実子がいたとしても優秀な子がいたら養子縁組みをして、優秀な子に家を継いでもらうという実力主義的なこともあったようです。

ちなみに、私の母方の祖父も養子でした。それまでの家業であった事業を拡大し地域ナンバーワンにまでもっていき非常に商才のある方でした。仕事では、鬼といわれいるほど厳しく、身内には仏といわれるほど優しいゴットファザーのような存在でした。

日本の未来を変えた養子縁組

日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文も、養子縁組をしています。もともとは、長州藩の農民の林十蔵の長男として生まれました。博文が5才の時に、家が今でいう破産のような状態になったので、父は、妻子を残して萩にいき、足軽の伊藤直右衛門のところで奉公人として働き口を見つけました。そして3年後に妻と子を呼び寄せたのです。父は、直右衛門にすっかり気に入られて養子に入ることになりました。父が足軽の家に養子に入ったため、博文も足軽の籍に入ることになりました。幕末とはいえ、江戸時代なので武士か農民かということで全く状況が異なります。つまり、博文にとって武士の身分になることができた養子縁組は、才能を活かすことができる非常に大きなチャンスとなったのです。この養子縁組がなければ日本の未来も変わっていたかもしれませんね。

民法と相続法による養子の数について

さて、この養子縁組。養子の数に制限はあるのでしょうか?民法上、養子の数には制限はありません
しかし、相続税法上、相続税を計算する上では、養子の数に制限を設けています。
相続税対策で何十人も養子縁組にするなんてことは、できません。
【実子がいない場合】・・2人まで
【実子がいる場合】・・1人まで

ただし、特別養子縁組(*1)による養子や配偶者の連れ子と養子縁組を行った場合の養子などは実子として考えます。

*1 特別養子縁組とは、子を保護する目的で昭和62年から創設された養子制度
・実の親が精神的・身体的・経済的事情により子の監護養育ができない場合
・虐待や遺棄など著しく不当な監護を行うなどにより、子の利益が著しく害されている場合・
養子と実親との関係が断絶し、養親との親族関係のみとなる。

(黒川総研 系図倶楽部 相続倶楽部より)