家紋|日本が誇るデザイン

あなたの家の「家紋」は、何ですか?
冠婚葬祭の時に、目にすることも多いその家の紋章である「家紋」。今回は、その家紋の歴史や種類、美しさについて簡単にご説明します。

家紋の歴史

家紋は、もともと平安時代の貴族が牛車の目印用に使用したのが始まりとされています。その時代の紋は、やはり貴族らしい優雅な紋が考案されていました。(丁字や巴など)

武士の時代になると、戦場での武功を示すために一気に多様化しました。この時代は、武士らしい簡明なものが考案されています。たとえば、島津家の十字。陣中でもささっと描ける紋です。

さらに、江戸時代に入り、幕府は庶民の家紋の自由は認めていたので、役者や遊女がこぞって紋をつけはじめました。そして、流行となり庶民にも広く用いられるようになりました

家紋の種類

素材の原型は、350種類あり、現在では変化し約2万種類以上と言われています。その中には明治以降に創作された新紋も含まれています。

そして、菊紋は、皇室の御紋章として別格です。これは、後鳥羽上皇が事に菊花を愛好されたことにより、紋章に発展しています。16複弁は、天皇家の紋ですが、皇族はそれぞれの一部を変えて使用しています。花弁の数を変えたり、文字を添えたり、裏から見たりする形など様々な形にデザインされています。

家紋の美しさ

花鳥風月を大切にしてきた日本人は、草花、鳥、動物などの特徴を的確にとらえ、みごとにシンプルに家紋に表現しています。世界的にもこのデザインは、注目されており、ヨーロッパの事務所には、大抵日本の家紋集が置いてあるそうです。

そういえば、あの、有名な「ルイ・ヴィトン」のモノグラムのデザインも家紋をヒントに作られたデザインです。実家の黒川鞄に行った際に、ルイ・ヴィトンのトランクがあったので、写真を撮らせてもらいました。パリ万国博覧会で、島津家の家紋の入った品を見たルイ・ヴィトンの関係者がその家紋の美しさに惚れ込み、家紋をヒントにデザインを考案したそうです。当初は、無地だったのですが、他社もマネをしてきたので、柄を入れて差別化をはかったそうです。

そして、家紋は、会社の社章の原案ともなっています。土佐出身の岩崎弥太郎は、三菱グループの創業者ですが、岩崎家の家紋から社章を作ったとされています。そのほか、和菓子や酒造メーカーをはじめ多くの会社で家紋をモチーフとした社章を用いている企業があります。

この日本文化の豊かさの象徴でもある家紋。美しいだけでなく、「家」と結びついている点でも素晴らしいのです。あなたの家の家紋も是非、次世代に伝えていって下さい。

(黒川総合研究所 系図倶楽部)